2012年08月12日

読書  「絹扇」 津村節子」

読書  「絹扇」 津村節子」






















内容(「BOOK」データベースより)
白羽二重で知られる福井の絹織物業を陰で支えた機織りの女性たち。明治21年生れのちよは、7歳で家業を手伝い、そのために学校も満足に通えなかった。美貌と機織りの腕を見込まれ、名家の次男に嫁ぐが、夫にはちよの知らない秘密があった。優しく献身的なちよに降りかかる苦難の数々。貧しくとも情感豊かな庶民の姿と、機織りに生きる女の半生を福井の産業史に重ねて描く秀作。


明治19年に尋常科4年が義務教育となっていたが、
「女の子は学問なんかせんでもえぇ~いい機職工になったほうが身のためや」との考え
で主人公チヨは勉学の機会も失われ、働きつめの生活をおくります。
これは、当時日本全国、沖縄もありました。
明治の女性達の多くが、家業の重要な一員として少女時代を生きてきた
今は亡き、明治生まれの祖母、姑からも何度となく聞かされた話し
「男はみんな学校行かせて私達は・・・・」向学心があるのに叶わなかった愚痴
それだけに、祖母、姑は毎朝の新聞読みはかかさなかった
「字はどこで覚えたの」と聞くと子供達の教科書から学んだとのこと
学問はなかつたけど、知恵のある暮らしをしていた2人を思い出しました。
 
 美貌で働き者の主人公チヨは、同業の機屋の息子に嫁ぎますが、
娘の出産後、夫の妾の存在ばかりか、子まで宿していることを知り、哀しみに・・・。
それでも、耐えて生きる当時の女性の心境
あなたならどうする・・・?私ならどうしょう・・・・・腹立つね!
夫が囲った妾ハナは2人の男の子を生んでいたのだ。
ハナが若くして死んでしまったときチヨはその子たちの母親にもなろうと決意します。
ここでは、チヨの気持ち解かります。

第一次大戦の好況に気をよくした夫(順二)はさらに投資を重ねて機会をいれて
工場を増改築します。ところが、関東大震災が発生で横浜の倉庫に入れてあった
輸出用の製品がそっくり焼けてしまいます。その心労からか順二は死亡、工場も人手に渡ってしまいます。
すべてを失ったチヨに従業員で陰ながら見守ってくれる倉田のおかげで
チヨは、1台のパッタン機で一からやり直そうと決意します・
ちよの健気な姿が描かれていますが、作品は淡々と流れていくだけに最後の文
倉田が「いつかおあねさんがうちの気持ちをわかっておくんなる時が来るやろうと思って、ほんな時が来るまでずうっと待っているつもりです」
ハッピーエンドが好きな私は、これからのチヨの幸せを願いつつページを閉じます。

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Posted by HANA-LUANA at 13:19 │読書備忘録